コラム仏事作法

そうしん葬儀仏事コラム-焼香について-

コラム

お焼香について

お仏壇に毎日お線香をお供えしている方は割と多くいらっしゃると思いますが、日常的にお焼香を行っているという方は稀でしょう。実生活において焼香をする機会というのはそれほどなく、親戚の葬儀・法事または知己のお葬儀に参列した時くらいという程に馴染みの薄いもので、やり方に関しては都度ネット検索等で調べるという方が多いのではないでしょうか。

実際、webにおける「焼香 やり方」「お焼香 やり方」をキーワードとした検索は多く、月間平均検索ボリューム(グーグルキーワードプランナーによる測定)は1万から10万の間に位置しており、いわゆるビッグワードの類に入ります。

今回のコラムはお焼香に関してご説明をしたいと思います。

焼香とは?

お焼香とは葬儀や法事において抹香(まっこう)を使って行う儀式を指します。抹香とは原材料である香木を細かく砕いた物で、これを香炉に置かれた炭の上にくべます。

抹香に使用される香木には、

・沈香(じんこう)
・伽羅(きゃら)
・栴檀(せんだん)
・白檀(びゃくだん)
・丁子(ちょうじ)
・樒(しきみ)

などがあり、これらを混ぜ合わせるなどして使用します。

ちなみに高級品として知られる沈香は、その希少さ故にワシントン条約により輸入制限などの措置が取られています。

丁子は漢方に使われる生薬です。洋名「クローブ」と言えば料理などでスパイスとして使用されますのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

また樒は日本にも自生(本州・宮城県、石川県以西)している木で柑橘系の香りがしますが、その葉・茎・根・花・果実・種子全体に毒性があります。食べると最悪の場合死に至る事もありますので絶対にやめましょう。

では焼香は一体何のためにするのでしょうか。これには、

1.故人への供物

2.焼香をする人の心身の浄化

という二つの意味合いがあります。

1に関してですが、これは仏教において香煙は仏の食べ物であるという考え方に依ります。また2についてですが、香の煙には人の身を清めて心を落ち着かせる作用があるいう考えから来ています。ですので焼香とは故人様のためだけではなく、焼香する人のためでもあると言えます。

焼香の作法

基本的な焼香の作法は以下のようになります。


1.遺族に一礼し、焼香台前へ進みます。遺影を仰いだ後、頭を下げて黙礼します。


2.右手で抹香を摘まみます。


3.摘まんだ抹香を額に押しいただきます。(押しいただく:額の高さ辺りの位置でささげて持つ動作の事を言います。※一部の宗派を除きます)


4.香炉へお香を静かにくべます。お香をくべる回数は宗派によって異なりますが、2回目からは額に押しいただく必要はありません。


5.合掌拝礼した後、遺族に一礼して、焼香台の前から離れます。

各宗派における抹香を炉の炭にくべつ回数ですが下記の様になります。(代表的な宗派のみの記載です)

真言宗 3回。

日蓮宗 1回(もしくは3回)。

日蓮正宗 3回(もしくは1回)。

臨済宗 1回(抹香をおしいただかなくても良いともされています)

曹洞宗 2回おこなうが、1回目は摘まんだ抹香を額に押しいただき、2回目は押しおしいただかない。

浄土宗 回数の定めは特になし。

天台宗 回数や作法に特に定めなし。抹香を押しいただくかどうかも定めなし。

浄土真宗 1回(抹香を押しいただかない)

焼香の作法をどちらに合わせるか

葬儀に参列した際、弔問先の宗派に焼香の作法を合わせるか、あるいは自分の信仰する宗旨・宗派の作法に従うのか、というのは判断に迷う所だと思います。

これはマナーと信教の自由の混在したデリケートな問題でありますので、絶対的な正解はありません。特に抵抗がなければ弔問先の宗派に合わせた作法で行えば良いですし、逆に自身の信ずる宗旨に依る作法で行っても問題はないでしょう。

また宗旨によっては焼香自体をしない場合もあります。仮にその宗旨の作法に従い、焼香台の前で焼香をしない方がいたとしても、その行為をとがめるのは信教の自由を侵害することになりかねません。あくまで参列した本人それぞれが判断する事なので、そのような事はしないように注意しましょう。